富山地方鉄道(通称:富山地鉄)は、2025年3月期まで6期連続の赤字を計上し、経営の厳しさが増しています。
特に不二越・上滝線や立山線の一部区間では赤字が深刻で、路線の存続が危ぶまれています。
このような状況を受け、沿線自治体や富山県との協議が進められ、鉄道の未来を左右する重要な局面を迎えています。
富山地方鉄道の現状:黒字区間と赤字区間の明暗
富山地鉄は、本線、立山線、不二越・上滝線の3路線を運行しています。
2025年3月期の決算では、黒字となっているのは本線の上市まで、立山線の五百石まで、不二越・上滝線の月岡までの区間で、それ以外の区間は赤字経営となっています。
特に立山線の輸送密度は2019年時点で872人/日と低く、コロナ禍の影響でさらに利用者が減少し、経営を圧迫しています。

提案された「みなし上下分離方式」とは?:インフラ管理と運行の分離による支援策
富山地鉄は、赤字区間の存続を図るため、「みなし上下分離方式」を提案しました。
この方式では、地鉄が線路などのインフラを管理し、維持管理費を沿線自治体が負担する仕組みです。
対象区間は3路線合わせて57.8キロに及び、年間の行政負担額は約5億8600万円と試算されています。
しかし、仮にこの負担を自治体が引き受けても、最終的には欠損が出る可能性があるとされています。
地元自治体の反応と方針:投資としての支援を模索
立山町の舟橋貴之町長は、立山線が観光電車として重要な路線であるとし、富山県全体の費用対効果を考慮した支援の必要性を強調しました。
一方、富山市の藤井裕久市長は、赤字補填ではなく、まちづくりや安全安心の観点から投資を行う意向を示しています。
両自治体は、利用状況などを調査し、路線の価値を分析した上で、2025年11月までに方向性を取りまとめる予定です。
今後の展望と課題:県の支援と路線存続の行方
富山県の新田知事は、沿線自治体からの要望を受け、支援協議に参加することを決定しました。
しかし、「みなし上下分離方式」については、費用負担が大きいことから否定的な姿勢を示しています。
県の試算では、事業費が総額600億円になる可能性があり、国が半分負担しても、県と沿線自治体には150億円ずつの負担が生じるとされています。
このような状況から、まずは単年度の赤字補填などの支援を行い、数年かけて最終的な支援形態を決定する方針です。
ネット上での反応と声:地方鉄道の存続に関心高まる
ネット上では、富山地鉄の経営問題に対して、多くの意見が寄せられています。
・「地方鉄道は地域の足として必要」
・「観光資源としての価値がある」
・「赤字でも存続すべき」
などの声がある一方で、
・「財政負担が大きすぎる」
・「廃止もやむを得ない」
といった意見も見られます。
また、他の地方鉄道の事例を引き合いに出し、持続可能な運営モデルの必要性を訴える声も上がっています。

まとめ:地方鉄道の未来を考える
富山地方鉄道の経営課題は、地方鉄道全体が抱える共通の問題でもあります。
「みなし上下分離方式」の提案や自治体との協議は、鉄道の存続に向けた新たな一歩となる可能性があります。
地域住民の生活や観光資源としての価値を考慮し、持続可能な交通インフラの構築が求められています。
当記事は以上となります。


コメント