Fukuoka FUN LIFE Project 〜高齢者ドライバーによる事故を〜

テクノロジーや運転方法を知って「これからの運転」を話し合おう

 高齢のドライバーによる自動車事故が相次ぎ、大きな社会問題となっています。その背景には「車がないと移動手段に困る」という利便性の問題や「自分は大丈夫」といった過信、車への愛着などがあります。
 西日本新聞社とQラボ(九州しあわせ共創ラボ)は、各関係団体と協力し、安全で誰もが安心して暮らせる福岡を目指す企画「Fukuoka FUN LIFE Project~高齢ドライバーによる事故を減らすために~」をスタートさせました。車を取り巻くテクノロジーの進化や加齢による運転技能の低下を補う方法など、事故防止につながる情報を発信し、「これからの運転」を考えるきっかけを提供していきます。
 大切な人を交通事故の加害者にも、被害者にもしないために、一人一人ができる対策を話し合ってみませんか。

国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の17の国際目標のうち、Fukuoka FUN LIFE Projectは、「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」「11  住み続けられるまちづくりを」「17  パートナーシップで目標を達成しよう」に貢献します。

対策1「サポカー」

先進安全技術を搭載した自動車
ドライバーの安全運転をサポート

 世界トップクラスの長寿国である日本。急速な高齢化に伴い、運転免許を保有する高齢者の数は年々増加しています。福岡県内では2004年から14年までの10年間で、約1.8倍に増えました。
 運転者による交通死亡事故(19年10月末現在)を年齢別に見ると、65歳以上が約23%と大きな割合を占めています。また運転操作ミスなどによる事故の割合は、65歳未満に比べて約2倍となっており、ブレーキとアクセルの踏み間違いの割合は年齢が上がるにつれて高くなる傾向です。
 喫緊の課題である高齢ドライバーの交通事故防止に向けて、政府は先進安全技術を搭載した「安全運転サポート車」(愛称セーフティー・サポートカー、略称サポカー)の普及を推進しています。サポカーは「衝突被害軽減ブレーキ」、サポカーSは同ブレーキに加え「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」などを搭載している自動車です。17年には1年間に生産される新車の約78%に「衝突被害軽減ブレーキ」が搭載されています。
 「自動ブレーキってどう作用するの?」「最新の技術を知りたい」などの疑問を解消できるのが、自動車販売店などで実施されている試乗イベントです。誰でも気軽に参加でき、サポカーの乗り心地や交通事故の防止、被害の軽減に役立つ機能を確かめられます。

サポカー・サポカーSの先進安全技術 車線逸脱警報:車線からはみ出したり、はみ出しそうになったりした場合、運転者に警告する 衝突被害軽減ブレーキ:前方の車両や歩行者に衝突の可能性がある場合、運転者に警報を発する。衝突の可能性が高いと自動でブレーキが作動 先進ライト:対向車などを検知し、ハイビームとロービームを自動的に切り替える ペダル踏み間違い時加速抑制装置:壁や車両を検知した状態でアクセルを踏み込んだ場合、運転者に知らせ、エンジン出力を抑えて急加速を防止する

対策2「補償運転」

加齢による運転技能低下を補う
ドライバーがルールを決めて運転

 元気そうに見えても、加齢によって身体機能は変化し、「視覚や聴覚機能の低下」「危険認知の遅れ」「突発的な注意力や判断力の低下」などが現れるようになります。年齢を重ねるごとに「夜の運転は目が見えにくい」「遠くまで運転すると疲れる」といった若い頃との違いに気付く高齢ドライバーも多いのではないでしょうか。
 こうした不安を感じるようになったら「補償運転」を考えましょう。補償運転は加齢による運転技能の低下を補う運転方法です。例えば体調や天候、道路状況を考えて「雨天時や夜間の運転を控える」「長時間運転をしない」などドライバー自身がルールを決めて運転します。高齢ドライバーの交通事故を防止する策として、新たに推奨されています。

対策3「運転免許証の自主返納」

「事故を起こさない」安心感
欠かせない家族や周囲のサポート

九州大学大学院 志堂寺 和則教授

 加齢による運転能力の低下で運転に不安を感じたら、運転免許証の自主返納を検討する機会かもしれません。
 現在、運転能力の低下を判定する検査はなく、本人または家族や周囲の人が判断するしかありません。高齢の親の運転に漠然とした不安を感じながらも、基準が分からないので勧められないという人も多くいます。
 「免許返納セラピー」(講談社)を監修した九州大学大学院システム情報科学研究院の志堂寺和則教授は「まず親御さんの運転する車に同乗して、運転状況を確認しましょう。急発進、急ハンドル、急ブレーキなど『運転がギクシャクしている』と何度も感じれば、自主返納を話し合うタイミング」とアドバイスします。
 自主返納をした後の生活の不安も決心を鈍らせる大きな要因です。不安解消には家族や周囲のサポートは欠かせないと、志堂寺教授は強調します。「周囲が『返納しても大丈夫だよ』と言うだけでは、なかなか行動に結びつきません。家族も一緒に行動を起こすことが、決意を後押しします」
 「事故を起こさない」という安心感は自主返納による一番のメリットといえます。志堂寺教授は「運転免許を持っている人は年齢に関係なく、『将来、自分はどうするのか』考えておきましょう」と提唱。「早いうちから考えていれば、返納後も不便なく、充実した生活を送れるはずです」

自主返納の手順や方法をまとめた実用書「免許返納セラピー」

自主返納をする前に

家族や周囲の人は返納後の支援を準備
 車が生活の足になっている場合は、例えば買い物は通販、病院へは他の交通機関を利用して行くなど代替案を提案しましょう。情報を教えるだけでなく、一緒に実践して「案外、簡単だね」と感じてもらうのがポイントです。
楽しみをつくっておく
 車を手放しても外に出たくなるような楽しみをつくっておくことを忘れずに。